不動産投資をすれば定期収入が入る
不動産投資(マイホームではなく賃貸用)をする理由として「家賃収入」等の定期的な収入が入り、給料以外の第2の収益源を持つことができるというセールストークがされています。これは本当に正しいのでしょうか?ここでは、不動産投資と収入との関係性を分析します。
マイホームは自分が自分に対して家賃を払うのと同じこと
「マイホームを持てば家賃がいらない」のところでの前提を引き継いで説明します。Aさんの不動産から得られる運用益は5%(不変)であるとしました。しかし、Bさんの場合、この超低金利時代に5%の運用益をあげることは至難です。(逆に、5%以上の運用益をあげられれば、Aさんよりも有利ですが)
このような現状を加味すれば、常に5%の帰属運用益を得られる不動産の方が有利じゃないの?という反論をされるかもしれません。
ですが、不動産には保有コストが必要となることを忘れてはいけません。
代表的な保有コストとして、
・建物の減価償却費(建物の劣化分を補修する為の費用)
・固定資産税
・地価税(現在は、停止中)
・諸管理費
などが挙げられます。株式などが保有しているだけでは費用が掛からないのとは対照的です。
これらの保有コストを年間2%と仮定すると、Aさんは毎年の運用益5%から2%を差し引いた3%しかえられないことになります。
逆に、Bさんは年間3%以上の運用益をあげることができればいいのです。
また、取引費用も忘れてはいけません。
概算ですが、不動産の場合購入時に購入価格の6%程度が必要になります。対して株式の場合約0,1%程度ですから、取引費用は不動産の方が60倍も高い事になります。この取得費用は240万円は年間運用益を押し下げます。
もう一つ、売却の際の課税も忘れてはいけません。株式などの場合、売却の際のキャピタルゲイン(値上がり益)課税は10%ですが、土地の場合は26%〜52%です。この差は非常に大きいでしょう。
最後に、新居も一日住めば中古となる事も大きなコストがあります。建物の耐用年数(住める年数)を30年。建物の価格を1200万円とした場合、毎年40万円の価値減少が、先ほどの保有コスト(減価償却費)として、挙げましたが、日本の場合、新築物件を購入した場合、一日でも住めば、価値が約10%ほど減少する。という現象があるのです。
以上のように、保有コスト、取引コスト、売却コスト、資産の減耗などすべてにわたって株式など有価証券と比較して不動産は、はるかにコストが高い事がわかります。
つまり、不動産投資のメリットを主張するのであれば、これらのコストを上回るだけの利益(土地の値上がり益+インカムゲイン)を得る必要があります。逆を言えば土地の値上がりと運用益が無ければ不動産投資のメリットはないことになります。