ゼロサムゲーム 投資やギャンブルで使われるゼロサムゲームの意味
2005年07月12日
株式投資や為替投資はゼロサムゲームではないか?という意見をよく耳にします。ここでは、株式投資や為替投資とゼロサムゲームについて考えていきます。投資に勝者はいないのでしょうか?
ゼロサムゲームは複数の取引参加者が取引をする中で、全員の損益の合計がゼロとなるような取引や状況のことを指します。つまり、誰かが儲かれば誰かが損をするような取引をゼロサムゲームと言います。
ちなみに、取引の総和がマイナスやプラスとなる場合を「非ゼロサム」ともいいます
私たちが参加している株式投資や為替投資などははゼロサムゲームなのでしょうか?
競馬やパチンコなどのギャンブル場合
競馬やパチンコなどの賭博は主催者側の利益(テラ銭)を除けば、基本的に取引参加者から資金を配分することになるのでゼロサムゲームとなります。
ただし、取引参加者から胴元を抜いた場合、胴元の取り分がある以上は必ず「マイナスサムゲーム」となります。
よく競馬やパチンコ、宝くじなどで「還元率」という言葉が使われますが、100%以下の還元率のゲームは基本的には非ゼロ和(マイナスサムゲーム)となります。
外国為替取引の場合
外国為替取引における取引は「為替レート」というものを取引します。
このレートは相対的なものです。ドルと円の為替レートの場合、ドルが上昇すれば円の価値は下がります。逆に円が上昇すればドルが下がります。
外国為替取引は必ず「ペア」となる通貨があり、それを買う人の反対側には売る人が存在するわけでです。
そのため、外国為替取引は完全な「ゼロサムゲーム」となっています。
短期的なFX投資などは基本的には「投機」に近い取引となります。
株式投資の場合
株価に適正な価格は無いという反論はもちろんありますが、ある一点だけを抽出して考えた場合、企業の収益力は一定です。その瞬間にはなんらかの形で適正な価格があるわけで、その適正な価格が存在する以上は株式投資はゼロサムゲームになってしまうわけです。
ただし、株式市場の全体のパイは一定では有りません。なえぜなら、株価が成立する根拠としての会社の利益の大きさや、持っている資本(厳密には利益剰余金など)が増加する事があるからです。
例えば、戦後間もない頃に上場した企業は資本蓄積もありませんし、利益の額もたががしれていたときもありました。しかし、現在では、その時何百倍から何千倍もの利益をあげるようになり、その会社の資本蓄積も膨大になっています。
つまり、会社の上げる利益や資本蓄積の増大により、株式市場のパイ(全体の大きさ)が拡大することになります。
結果、市場の拡大によりゼロサムゲームの状態から抜け出す事になります。
以上の点より、株式市場は短期的にはゼロサムゲームが成立するが、中長期的にはゼロサムゲームが成立しないといえるかと思います。
また、単純に時価総額ということを考えても株式市場はゼロサムゲームではないことがわかります。 日経平均株価が上昇すれば当然、時価総額(価値の総和)は上昇します。その一方で下落すれば時価総額(価値の総和)は減少することになります。
そのため、株式市場はゼロサムではない(非ゼロサム)といえます。
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