投資とレバレッジとリスクに対する正しい理解をしよう
レバレッジ(leverage)は日本語にすると「梃子(てこ)」という意味があります。
投資に自分が投資した資金に対して他人の資金をつかったり、信用決済を行うことによって資金効率を高めることを指します。
実際の投資では「信用取引」「先物取引」「オプション取引」「FX取引」「CFD取引」など様々な投資で利用することができます。不動産投資を銀行融資で行うのも融資を利用したレバレッジ取引です。
こうしたレバレッジ取引は投資の効率を高める上では必要不可欠な考えである一方で、投資のリスクを高める取引でもあります。
投資をする上では避けては通れないもので、リスクを考えずレバレッジをきかせすぎると何かあった時にそれこそ「退場」となりますし、一方で過度にリスクをおそれて資産にレバレッジをかけないと大きな資産の成長は望めません。
レバレッジについて正しい知識を得ることは投資家として成功するために必要不可欠なものだと私は考えています。
レバレッジは資産成長のエンジンである一方でもろ刃の刃でもある
まずはメリットから紹介します。
レバレッジをきかせるということの最大のメリットは資産の成長を加速させることにつながります。
たとえば、100万円の元本があり、年利5%で運用ができるとします。
このとき、100万円のままだと年間に得られる収益は5万円ですが、仮に5倍のレバレッジをきかせて500万円の取引を行えば利益も5倍の25万円になります。
利回り5%が5倍の25%にまでなるわけです。
これに「複利効果」が合わされば非常に大きな資産成長のエンジンとなります。
一方でこの面をマイナスで見た時、最大のリスクは、逆方向に動いた時に、レバレッジ分だけ損失が拡大するというものです。
日本の場合、FX取引で最大25倍のレバレッジをかけることができます。これは仮に4%の価格変動があれば100%の値動きをするということになります。マイナス方向に動けばすべての投資がパーになります。
為替レートなどは時には急激な変動をすることがあり、急に6%の値動きがあれば、投資資金(証拠金)が全額無くなった上で、追加でお金を出さないといけなくなります。
適切に利用すればメリットもあるレバレッジ取引ですが、適切な水準というものをしっかりと考慮しておく必要があります。
資金の有効活用にもなる
人が持つ資産には限りがあります。さらに言えば、すべてのお金を投資に回すことができるわけはなく、現金のようなすぐに動かせるお金で持っておくべきお金もあるでしょう。
レバレッジ取引を利用すれば、実際に証券会社などに預けておくお金は少額で済みます。そのように資金を様々なことに使える柔軟性にもつながるというメリットがあります。
ただし、後述しますが、レバレッジを取ることにコスト(金利)がかかる取引もあります。そうした取引の場合は、コストも考えた上での判断が必要です。
一方でレバレッジを取ることにコストがかからない取引もあります。証拠金取引に代表される「FX取引」や「CFD取引」などが代表です。このようにレバレッジコストがかからない取引に関しては資金の有効活用の観点からもレバレッジを活用するべきです。
レバレッジのためのコストもある
また、レバレッジを効かせるときにはその分のコストがかかる場合があります。
たとえば、株の信用取引の場合には信用取引をしている部分に対して「信用金利(買い方金利)」が発生します。不動産投資をする場合は「融資に対する金利」が発生します。
こうした金利は当然ですが、運用利回りを低下させる要因となります。レバレッジ効果による運用益の増加の方が大きければ問題ありませんが、逆に「レバレッジ後の運用利回り」<「レバレッジコスト」となった場合は逆効果となります。
レバレッジはコントロールできる
レバレッジというものは制御不能な何か分からないけど危険ものではありません。
レバレッジは投資家の意思によって自由にコントロールできるものです。
たとえば、FXではレバレッジは最大25倍まで掛けることができますが、別に25倍まで買う必要はありません。預けた金額の範囲内でしか取引をしないのであればレバレッジは1倍です。
制御不能で万が一の時に大変なことになるというのは、最初からコントロールしていないだけの話で、ギャンブルで大穴に突っ込んでいるだけです。そもそも論で投資ではなく投機(ギャンブル)をしているにすぎないわけです。
レバレッジは何倍までなら安全?
レバレッジは何倍くらいまでなら大丈夫なのか?という話もありますが、これは投資対象や投資家それぞれの置かれている環境によって異なるとしか言えません。
・投資対象のリスク(価格変動)の大きさ
・資産の絶対額
・いまの年齢
・現在の収入の金額や将来の安定性
などの要因で変わってくるはずです。投資対象の変動が大きいならレバレッジは低めにしておかないと危ないですが、ほとんど値動きのないものなら多少のレバレッジはとっても大丈夫でしょう。
また、人それぞれの環境でも違ってきます。
まだまだ労働による収入が見込める人は多少のリスクをとって失敗しても労働収入によって挽回できますが、退職が近い方などはそうしたリスクを取るのは危険です。
投資ごとのレバレッジではなく、資産全体でレバレッジを考えるべき
また、投資ごとにレバレッジを考えるのも正しくありません。仮にFX投資でレバレッジ10倍を取っていても、FXに投資をしている証拠金が資産全体の10%であれば、資産全体に対してのリスクは大きくありません。
一方で、レバレッジが5倍であっても全資産の大半がFXというのであればそれはリスクは大きいと言えるでしょう。
まとめ。レバレッジを正しく理解し、上手に活用しましょう
レバレッジの考え方やリスクとの向き合い方について説明してきましたがいかがでしょうか?
上手に活用すれば味方になりますが、間違うとリスクを大きく増幅してしまうレバレッジ。上手に付き合っていきましょう。
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