積立投資はかなり有効「ドルコスト平均法」
分散投資の一つに「時間分散」というものがあります。これは投資する時期をずらすことで価格変動リスクを抑えるというものです。この時間分散を活用した投資法として知られているのが「ドルコスト平均法」という投資です。
今回は積立投資が力を発揮する「ドルコスト平均法(定額購入法)」についてその特徴とメリット、デメリットをまとめていきたいと思います。
ドルコスト平均法って何?
価格変動商品(株式など)を一定金額づつ購入する投資法のことを指します。定額購入法とも呼ばれる投資戦略の一つで、ドルコスト平均法による取得を継続した場合、平均取得価格を引き下げる働きがあります。
ドルコスト平均法による投資の例
ドルコスト平均法による投資を行う場合、一般的には投資信託、自社株投資、累積積み立て投資、FX(外国為替証拠金取引)などに向いた投資法ですが、基本的に数量ベースでなく金額ベースで購入できる投資商品であればどれにも応用可能です。
ドルコスト平均法を利用する場合、例えばAという投資商品について毎月2万円づつ投資するといった投資法です。この場合、Aという投資商品の値 段が上がったときは少ししか購入できませんが、逆に値段が下がったときは多く購入することができます。これを積み上げることで平均価格よりも安い金額でA という投資商品を手にすることができます。
では、上記の例において以下の価格変動がおこったとしてその平均価格と平均取得価格をみていきましょう。
価格 | 取得数量 | |
1ヶ月目 | 100円 | 200単位 |
2ヶ月目 | 110円 | 181.8181単位 |
3ヶ月目 | 105円 | 190.4761単位 |
4ヶ月目 | 92円 | 217.3913単位 |
5ヶ月目 | 90円 | 222.2222単位 |
6ヶ月目 | 100円 | 200単位 |
上記の例の場合、6ヶ月の投資商品Aの平均価格は99.5円となります。取得した投資単位を合計すると1211.9077単位を取得したことになります。投資総額は2万円×6ヶ月ですから12万円です。
一方、ドルコスト平均法で取得した投資商品Aの1単位あたりの価値は12万円÷1211.9077=99.0174円となります。単純に平均した場合と比較して0.48円(総額ベースではおよそ600円)の違いがでる計算になります。
この場合は投資期間が短いので大きな違いはでませんでしたが、毎月の取得金額を大きくしたり、投資期間を長くするとその差はさらに大きくなります。
このように、平均取得価格よりも安い価格で購入することができる投資法を「ドルコスト平均法」と呼びます。
ドルコスト平均法のメリットとデメリット
最後に、ドルコスト平均法のメリットとデメリットについてまとめておきます。
メリット
・平均価格よりも安い価格で取得することができる。
デメリット
・株式投資の場合など数量単位で購入しなければならない投資には使うことができない
・平均価格よりは安い価格で買えるが底値(一番安い価格)で買える訳ではない
上記から、確かにドルコスト平均法は、「市場平均価格よりも安く買える」というのは事実ですが、相場が高いときでも買うのが原則です。そのた め、底値で一点買いしたほうがお得というのは確かです。ただし、相場というのは先が読めないものですので、今日の高値は将来の安値である可能性もあるので す。そうしたリスクを含めた上で投資できるドルコスト平均法は優秀な投資法の一つであると私は考えています。
ドルコスト平均法による投資が可能な投資商品
ドルコスト平均法による投資は基本的に「金額ベース」で投資ができる投資商品に限定されてしまいます。金融市場で投資可能な商品としては
- 投資信託(ETFやREITは不可)
- るいとう(株式累積投資)
- 外貨預金の積立預金(外貨MMF投資)
などが挙げられます。投資信託投資や外貨預金(外貨投資)などはこのドルコスト平均法投資が可能なため、長期的な積立に適しているといえます。
一方で株式投資の場合は「株数単位」での注文になるため、ドルコスト平均法は使えません。ただし、2019年にSMBC日興証券がサービスを開始した「キンカブ」は金額単位で株式を購入可能になっているので、ドルコスト平均法で株式を売買することが可能です。
特に、「ゼロサムゲーム」と呼ばれる外国為替市場においては短期的な為替売買は投機に近いため、中長期の積立投資をすることは有効な手段の一つであるといえます。
次は、投資や資産運用においてとても重要な概念である「複利」について説明します。
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