ゴールドマンサックス証券(GS)によるテイク&ギヴニーズのレーティングについて
07年6月7日
今回は、あえて名指しで指摘いたします。別に必ずしもゴールドマンサックス証券だけに関連するわけではないのですが、タイムリーに情報が手に入りましたので、この件を利用させてもらいます。以前も「証券会社のレーティングとモラルハザード」という記事を書きましたが、その続きみたいなものです。
さて、テイクアンドギヴニーズ(4331)という会社をご存知でしょうか?ハウスウエディング関連のサービスを提供している会社なのですが、この会社が07年5/24に業績発表を行い、下方修正を行ったわけです。
これを受けてゴールドマンサックス証券を始めとして、いくつかの証券会社がこのテイクアンドギヴニーズ社の株価格付けを引き下げました。(GSは目標株価15.5万円→3.5万円)。
さて、これらの結果を証券市場は極めて大きく受け止めたようで、T&Gの株価は6営業日連続でストップ安となり、株価は84,300円から42,650円へと約半分の株価にまで大きく下落することになりました。
さて、以上が状況説明なのですが、問題にしたいのはこのGSが出した目標株価とその前後の行動です。
GSは6/6付けでT&G社の株式を約9.6万株取得していたことが分かりました。この株式取得の理由は「株券の消費貸借による株券の借入に対する返済の為」とされています。難しい言葉ではありますが、ようするに、ゴールドマンサックスは、T&Gの株を高いところで空売り(信用売り)しておいて、株価が下落したことに伴い、空売りしていた株を買い戻してその差額を得たということになります。
控えめに見積もって、GSは(84,300円-45,000円)×9.6万株=37億円
という利益を得た計算になります。これが、単にT&G社の業績悪化を予想して空売りをしていたというだけならば通常の証券取引の一つですから特に問題はないのでしょうが、決算発表を受けるまでは「買い」と推奨しておいて、発表後は一転「売り」という。自分はちゃっかり「買い」と言っている間に空売りの玉を作っていたと言うことになります。
(ちなみに、GSがレーティングを「買い」から「売り」に引き下げた後に空売りをすることは不可能。)
ここまで見事に行われると、まさにレーティングを使って、自社の都合が良いように証券市場をもてあそんでいると言われても仕方が無いかもしれません。
証券会社がレーティングを発表するのは、当然投資家の参考にもなりますので、大いに結構ですが、そういったレーティングを発表する会社というものは、節度というかモラルを持って取り組んでもらいたいものです。
もちろん「それなら、証券会社が出すレーティングを信じなければいいじゃん?」という意見があるのは分かりますが、証券市場に対して少なからず影響力を持つ者にはやはりそれなりのモラルをもった行動や規範が必要だと思います。
※上記コラムについては、ゴールドマンサックス証券(GS)について書いていますが、今回の件が現段階において法律違反であるとかそういう問題ではありません。あくまでも証券業界に対する意見として具申しております。 |