高配当銘柄と株価について
直近「高配当銘柄」に対する投資信託が野村證券、日興証券、大和証券などの大手証券会社を中心に設定されており、野村アセットマネジメントの「日本好配当株投信」などについては設定からわずか10日で1000億円もの資金を集めるなど人気を博しております。
それでは、今回は高配当と株価の関係について考えていきます。
企業が株主のモノという考えは非常に一般的であり、企業は生産活動を通じて得た利益については株主に還元する事が基本です。
そして、その会社は生産活動を通じて得た利益をどのように分配するかが問題になります。
@内部留保
内部留保とは、その一年間の生産活動で得た利益については、会社に留保しその資金を使って新しい工場への投資や人員を増やしたりと「さらなる利益獲得」の為に利用します。
A配当(または自社株買い)
利益を投資してくれた人に対して分配する方法です。
では、@の内部留保とAの配当に回す。という二つの方法について、それぞれ考えてみると実は同じ経済効果を生み出します。
例えば、Aという会社があり、一年間に100億円の利益を上げたとします。
仮に全額を内部留保したとしても、その会社の資産自体が増加している為、その分は最低でも株価はあがる計算になります。配当した場合は当然ですが会社の純資産が増加しないため株価の上昇はありません。
つまり、企業が得た利益については配当に回そうが、実は全く同じなのです。
では、なぜ配当を重視するのでしょうか?答えはROEという指標にあります。ROEとは株主資本利益率の略語で、株主から預かっている資金をどれだけ有効に利用できているか?という指標になります。つまりROEの高い企業ほど預かっている資金を有効に利用できていると判断され、投資効率が高いとみなされます。
ということは、ろくに投資先もないのに、必要以上に内部留保する企業は預かっている資金を有効に活用しているとはみなされず投資魅力が減退すると考えられます。
例えば、前期大幅な配当金を拠出したマイクロソフトですが、この企業はこれまで1銭(1セント)たりとも配当は支払っていませんでしたが、株価は高い水準を保っていました。これは、マイクロソフトがあげた利益については配当に回すよりもマイクロソフト内で留保し新しく投資したほうが効率的であると市場が判断したからです。
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