生活設計法による保険金算定
生活設計法(せいかつせっけいほう)とは、遺族が必要となる生活費について積み上げ式に計算していく方法です。一般的には、子供が独立するまで、妻が平均年齢まで生きると仮定した場合の保険金が設定されます。具体的な生活費をもとに計算しますので、必要な保険金額を算出しやすいのが特徴です。
生活設計法の基本
生活設計法による必要な保険金算定をする前に、モデル家計の仮定をしておきます。
1.家族構成
妻30歳、長男8歳、次男1歳。
2.現在の資産
500万円。持ち家なし。
3.保障の条件
妻は80歳まで生存と仮定。子供は18歳まで扶養することとする。
家族3名の生活費:月30万円
家族2名の生活費:月26万円
家族1名の生活費:月18万円 とそれぞれ仮定する。
その他の費用:子供の教育費用:各400万円
生活設計法による必要な保険金の計算式
保障の条件で計算した生活費をそれぞれの年齢まで積み上げた上で、現在の資産から差し引きます。
30万円×10年(長男が独立するまで)×12カ月+26万円×7年(次男が独立するまで)×12カ月+18万円×33年(妻が死亡するまで)×12カ月+800万円(子供の教育費用)=13712万円(1億3712万円)
この上で現在すでに保有している資産を差し引きます。
13712万円-500万円=13212万円
必要な保証額は1億円以上?
こうやって計算すると1億円以上の資産が必要になるという計算になります。
本当にそんなお金が必要なのでしょうか?
保険屋さんなどはここで1億円という大きな金額を出して、生命保険の必要性をPRすることが多いのですが、実際には様々な公的扶助が与えられます。
遺族年金
子のある妻、子に支給される年金です。自営業者の場合は遺族基礎年金、サラリーマンの場合はこれに加えて遺族厚生年金が給付されます。
たとえば、上記のケースでは、妻+子二人の場合、収入によっても多少差はありますが、サラリーマンの妻の場合、年150万円〜200万円程度の遺族年金の給付が期待できます。
仮に180万円が50年間給付された場合、おおよそ9000万円は年金でカバーすることができるわけです。
そうなると、それを差し引けば必要な保証額はおおよそ4000万円程度となります。
働くという選択ももちろんあるはず
また、年金だけでなく、妻自身が働くという道ももちろんあるはずです。
年100万円の収入があれば、遺族年金と合わせることでだいぶ生活が楽になることかと思います。
そうなってくると必要な補償額というものはもっと小さくなってくるはずです。
保険というものは原則としては必要最小限に抑えることが、万が一のことが起きない生活(そっちのほうが確率としてはずっと大きい)をより豊かにするために有効です。
生活設計法で保険金を算出する際のポイント
生活設計法はあくまでも費用を積み上げ式に計算する方法となります。遺族に楽な生活をさせたいというのであれば必要生活費を上げておいたり、子供を私立の学校に行かせるのであればその分の教育費分を上乗せしておくとよいでしょう。
自宅が持ち家の場合は賃料(家賃)が不要になりますので、その分生活費設計を引き下げることも検討できます。
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