国民年金基金は個人事業主の上乗せ年金。ただし、問題も多い。
国民年金基金は個人事業主などの第1号被保険者が加入することができる、国民年金への上乗せ年金制度です。国民年金のみではサラリーマン等が加入する厚生年金と比較して老後の備えが不十分であることから、任意で年金を上乗せできる制度となっています。
一方で国民年金基金はすでに大きな積み立て不足が生じているため、これから加入する人が不足分を補てんするといった負担の仕組みになっているため、新規加入者にとってはやや不利な制度となっています。
個人事業主の上乗せ制度については「個人向け確定拠出年金(iDeCo)」などもありますので、あえて国民年金基金に加入するメリットはさほど大きくないと思います。
国民年金基金とは
第1号被保険者が年金の1階部分である「国民年金」に上乗せする形で加入することができる年金となっています。
保険料は個人型確定拠出年金と合わせて68,000円(月額)が上限となっており、口数単位で掛け金の変更が可能です。払った保険料は全額が所得控除されますので税制面のメリットがあります。
所得控除(しょとくこうじょ)とは、所得課税(所得税等)の計算において、税額計算の元となる所得自体を控除すると言う方式。例えば年間で100万円の所得控除という場合、課税対象となる所得が500万円、税率が20%という場合、通常ならば500万円×20%=100万円が支払い税額となるが、所得控除100万円がある場合には(500-100)×20%=80万円が支払うべき税額となる。
参考:所得控除とは?
国民年金基金のメリットとデメリット
メリットとしては、運用についてあまり考える必要がないという点でしょうか。
確定給付型の年金制度なので、加入時点で将来いくらの年金がもらえるかが決まります。個人型確定拠出年金のように運用の結果によって老後の年金が変わるということはありません。
一方で、現在の国民年金基金の予定利率は極めて低いため、将来インフレなった場合などには物価上昇についていけないリスクがあります。
最大の問題は多額の積立不足
1991年:5.5%
1995年:4.75%
2000年:4.0%
2002年:3.0%
2004年:1.75%
2014年:1.50%
上記は国民年金基金の予定利回りです。年を経るごとに大きく下がって生きているのがわかります。国民年金基金は加入時点での確定利回りなので1991年に加入した人はずっと5.5%で運用されます。一方で2014年以降の人は1.5%での運用です。
同じ年金なのに利回りに大きな差があります。
問題はそれだけではありません。国民年金基金には上記の高い利回りを約束しているため、莫大な積み立て不足が生じているのです。昔に加入した人に約束した分を払うと積立金が不足してしまうわけです。
となるとその不足はどうするのか?新しく加入した人の保険料で賄われるわけです。
すると後から入った人は昔に入った人のためにせっせと保険料を納めるという仕組みになっています。
このままだと国民年金基金はながく続かないのではないでしょうか?国民年金と違って任意の年金なのですから……。
抜本的な対策を取らないと破綻という可能性も十分に考えられます。
個人型確定拠出年金ならそうしたことは起こらない
一方の個人型確定拠出年金(iDeCo)であればそうした問題は起こりません。
なぜなら、自分が払った保険料を自分で運用してそれを受け取る仕組みになっているので、先に入った、後に入ったという違いで問題は起こらないのです。
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