金融税制と二元的所得税とは
本来の「総合所得課税」の基本的な概念からすれば、金融商品からの所得については勤労所得や事業所得などと合算し、それに対して累進税率により課税することが理想となります。
しかし、現実問題として、金融所得を包括して課税することは困難を極めます。この理由について細かく指摘すると莫大なページ量になりますのでかいつまんで説明すると、
@所得捕捉の問題・・・課税当局が各個人の所得を全て細くすることは現状では不可能。ましてやそれに累進税率を課すことはさらに捕捉の正確性を要する。
A金融商品の特異性・・・本来所得は発生段階(株なら含み益が発生した段階。つまり株価が上昇した段階)で課税されなくては公平ではないが、課税の難しさから実現段階(売却しキャピタルゲインが実現した段階)で課税されています。このことから公平性が損なわれる。
Bタックスヘイブンの問題・・・本サイトでも取り扱っていますが、金融所得に対して高い限界税率を適用すると資本が海外へと逃避する。(特に総合課税により高所得者に高い限界税率を適用するとその動きはより顕著となると推測される。)
以上の問題から、金融所得に対して累進税率を課す事は事実上不可能でしょう。そこで、現在は分離課税という対処が行われているわけですが、各金融商品ごとに所得分類を行い非常にわかりにくく税率についても各金融所得によって異なる為に、複雑化しています。
この問題に対して、対応策として考えられるのが、資本から生み出される所得と勤労によって生み出される所得を二つに分割し、前者には比例税率(同じ税率。例えば20%ならいくら所得があろうが20%)、後者には累進税率(所得が上がるごとに税率も上がっていく)というように分割し管理することで、これまで挙げてきた問題を幾分解消する事になり、税制自体も簡素化することでしょう。
ただ、公平と公正って考え上、また金持ち優遇って言われて、実現は難しいのでしょうけどね。 |